クレジットカード現金化は違法なのでしょうか?法律を検証
現金化を利用する際に一番気になる点、それは「違法なのかどうか」ではないでしょうか。法律面を検証しました。
クレジットカード現金化業者の二つの業態
クレジットカードを利用した商法として、クレジットカード現金化、クレジットカードのショッピング枠の現金化などと言うものがあります。
クレジットカードには、クレジットカードから現金を引き出すことができるキャッシング枠と、クレジットカードから直接お金を引き出すのではなく、カード会社からお金を借りる形で物品を購入するショッピング枠とがあります。
クレジットカード現金化の方法は主に2パターンあり、
A、現金化専門業者を介しショッピング枠を利用して業者が指定する商品を購入し、キャッシュバックを受ける形で現金を得る
B、ショッピング枠を利用して商品を購入させ、その商品を業者規定の割合で買い取ることによって、利用者に現金を支払う
となっております。
A,の方法は問題ないのですが、B,の方法では逮捕される業者が出ています。
まずは、違法性がある、B,の方式による現金化について、その違法性や問題点を解説していくこととします。
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買取方式の現金化は危険
逮捕された業者たち
クレジットカード現金化業者が初めて逮捕されたのは、2011年8月の事でした。
警視庁の発表によれば、この現金化業者は、現金化業者というのはあくまでも名目上の観のことであり、[事実上の金融業者である]として、貸金業法と出資法違反で摘発したのでした。要点は以下の通りです。
買取方式の現金化業者は金融業として認定された
「ショッピング枠を現金化目的のために利用させるという商法は、ショッピングを装ったお金の貸し付けである」
つまり、現金化業者を金融業者として認定したのです。
金融業者として認定されたからには、貸金業法に基づいて登録をしなければならないのですが、現金化業者は無論貸金業の許可を受けていません。
つまり、無許可で営業していることとなり、貸金業法に違反していると見なされたのです。
金利が大幅に超過していた
貸金業者であると認定されたからには、貸金業法上の規定に基づいた出資法の上限金利を越えることは許されません。
しかし、現金化業者が行っている事業を貸金として金利計算したところ、出資法の上限金利を大幅に超過していたのです。
買取方式業者は古物商の許可を得ているだけ
買取方式の現金化業者たちは、ホームページ上でイメージを良くするためにも、「公安委員会の許可を受けている」などの表示を行うことによって、合法的なサービスであることを主張していますが、行員委員会側の主張では「古物商の許可を与えているだけである」との見解を示しており、中古品の売買を行うことを許可しているにすぎません。
決してクレジットカードのショッピング枠の現金化を許可しているわけではないのです。
新聞の報道を洗ってみると、2012年以降にもいくつもの現金化業者が摘発されています。
警察庁の資料によると、「2012年4月までに5人を出資法違反(超高金利・脱法行為)および貸金業法違反(無登録営業)で検挙した」とされています。
買取方式の現金化業者を利用する側は逮捕される?
上記のように、クレジットカードで商品を購入させ、それを業者側が買い取るという商法では逮捕される業者が続発しています。
では、利用する私たちは罪に問われることはあるのでしょうか?
実際、買取方式の現金化利用者が逮捕された例はこれまでたったの1件もありません。
では、法律上利用者側に全く法律上の問題がないのかと言うと、そういうわけではありません。
問題となる点を以下に列記していきます。
買取方式の現金化は横領行為となる可能性がある
クレジットカードで購入した物品は、その商品代金がカード会社に完済されるまでは、所有権がクレジットカード会社にあります。
したがって、所有権が自分にないものを転売する行為は横領行為に当たり、「横領罪」に該当する可能性があります。
買取方式の現金化は詐欺行為となる可能性がある
本来、ショッピング枠は買物のために利用すべきものであり、現金化目的での使用はカード会社の規約で禁止されている行為です。
したがって、現金化を行う行為はこの規約を無視する行いであり、これはカード会社からお金を詐取する行為として「詐欺罪」に該当する可能性があります。
買取方式現金化利用者が逮捕されない理由
利用する側の逮捕者が出ていないとはいえ、厳密に言えば違法な行為であることは否めません。
ではなぜ逮捕者が出ないかと言えば、
・現金化目的で購入した代金のカード払いをきちんと行っている以上、詐欺とは認められない。
・このような方法によって現金を得ている人があまりにも多いことから、当局側も黙認している。
・貸金業法改正で消費者金融を閉め出したことにより、現金化へ誘導してしまった側面がある。
・詐欺罪として立件しても被害額が数十万円程度なので、警察も本腰を入れて動かない。
・詐欺罪として立件するには、「カードで購入した時点で現金化する目的があった」ことを証明しなければならず、立証が困難。
などという部分があります。
また、法的に軽微な罪であることも理由の一つとなっています。
いわば、立ち小便やポイ捨ても法的に見れば軽犯罪法違反にあたるのですが、警察がこれをわざわざ取り締まらないのと同じことです。
そのため、警察が現金化利用者に対して何らかの措置を取ることは今のところなく、カード会社が利用者に対して利用停止措置を講じるなどによって対処することとなっています。
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キャッシュバック方式の現金化なら完全に合法なのか
キャッシュバック方式の現金化業者を利用する側は法律的には問題ない
上記において、「現金化専門業者を介しショッピング枠を利用して業者が指定する商品を購入し、キャッシュバックを受ける形で現金を得られると言う方法はさほど問題がない」と書きましたが、あえて“さほど”と書いた以上、いくらかの問題点はあると言うことです。
それは、カード利用規約違反になると言うことです。
法律的にはセーフでも、現金化目的の利用はカードの利用規約に抵触します。
とはいっても、法律違反ではありませんから逮捕されることはなく、利用規約違反によってカードの利用が停止されるだけです。
お使いのカード会社の利用規約をご確認ください。
例外なく「換金目的でショッピング枠を利用を禁止する。違反した場合はクレジットカードの利用を停止する」と規定しています。
キャッシュバック方式の現金化は詐欺や横領の心配はない
キャッシュバック方式の現金化の流れを見てみると、
1、カード所有者は現金化業者指定の商品をカード決済で購入する
2、現金化業者は利用者に対してキャッシュバックを行う
3、利用者は、商品の購入代金をカード会社に支払う
というものであり、転売をしているわけではないため横領罪には抵触しません。
ただ、現金化を目的として行っていることは明白であり、商品購入代金を払わなかった場合は、詐欺罪に抵触する可能性はあります。
キャッシュバックというのは家電量販店のポイントと同じ
キャッシュバックのように、購入者に対して特典を与えて購入を促すことは、法律で禁じられている行為ではありません。
例えば、電化製品を購入した際に「ポイントバック」などの形で事実上の現金還元が行われているのはよく目にすることです。
つまり、現金化目的で行っているという事実があろうとも、キャッシュバックによって現金を受け取っていることを取り締まる方法がないのです。
キャッシュバック等のポイント付与は単なる商取引であり、客観的に見て貸金業とは認められません。
これが抜け穴になっています。
したがって、普段慣れ親しんだ大手家電量販店のポイント還元と同類と見なし、あまり不安に思わず利用しても問題はないでしょう。
利用者が逮捕されたり、自己破産の際の免責不許可事由になる心配もありません。
業者は完全に合法とは言えない
やはり業者側が罪に問われる可能性はあるようです。
なぜならば、このような現金化御者が取り扱っている商品は価値が数百円~数千円程度のものであり、それを数万円で購入させ、規定のパーセンテージのキャッシュバックを行うという行為を問題視することができるからです。
たしかに、現金化業者の業態からして、本当に価値あるものを相応の金額で購入させ、キャッシュバックを行ったのであれば全く商売として成り立たないのですから、当然と言えば当然のことです。
しかし、価値のないものを何らかの別の目的のために高額で売りつけてキャッシュバックを行うと言うことは、どうみてもおかしいことであることから、非常に取り締まりにくい業態であるものの、公序良俗違反に問われる可能性があるのです。
また、カード会社によって現金化に対する取り締まりの姿勢は異なります。
キャッシュバックの方法で現金化した場合、「全カード会社の規約違反には抵触しない」とは断言できず、そうである以上は、詐欺罪に抵触する可能性も否定できるものではありません。
したがって、完全に違法ではないとはいえ、完全に合法であるとも言えないグレーな取引であると言わざるを得ないでしょう。
しかし、実際に逮捕者が1人も出ておらず、今後も現在の業態で取引が行われる以上は逮捕者が出る可能性も極めてゼロに近いということから、賢く利用すれば有益なサービスであるということは間違いのないことです。
その他の問題点
その他の問題点をあげるとすれば、自己破産手続き上の免責不許可事由になるということが挙げられるでしょう。
破産法には免責不許可事由というものが設けられており、ギャンブルや浪費を原因として借金がかさんで自己破産に至ったような場合には、免責が認められないシステムとなっています。
クレジットカード現金化を利用したと言うことも、免責不許可事由に該当するのです。
これは、破産法252条1条2項にきちんと定められています。
もっとも、免責不許可事由に該当する行為があった場合にも、必ず免責不許可の決定がなされるとは限りません。
しかし、免責不許可事由があると、裁判所から債権者に対して配当の指示が下ることがあったり、破産管財人が選任されるケースがあり、自己破産手続きにおいて面倒な事態に陥ってしまいます。
特に、破産管財人が選任された場合には、最低でも20万円の予納金を裁判所に追加で収める必要があることから、破産手続きが難航する恐れがあるのです。