クレジットカード現金化業者は、どうして一斉摘発されないのか
クレジットカード現金化はグレーゾーンのサービスであり、解釈によって違法であるとされることもあれば、合法であるとされることもあります。
インターネットで調べればどちらの情報も見つかるため、混乱してしまう人もいることでしょう。
しかし、解釈によって違法とされるものが、一斉摘発も受けずに営業を続けているのはなぜでしょうか。
本稿では、クレジットカード現金化業者の違法性に迫ります。
クレジットカード現金化の不安
近年、クレジットカード現金化の利用者が増加しています。
しかし、増えたとはいえ絶対数がまだ多いとは言えない状況であり、その大きな理由として挙げられるのが、「クレジットカード現金化がグレーな扱いを受けていること」による不安です。
取引そのものがグレーな扱いを受けているのであれば、利用するのをためらう人が多いのも不思議ではありません。
このほか、クレジットカード現金化業者の中には悪質業者も存在するため、業者選びを間違って詐欺やそれに類する被害に遭っている人も多く、そのような事例があることも不安の要因となっています。
利用者はクレジットカード現金化を正しく理解し、選んだ業者が安全であるかどうかを確認したうえで利用する必要がありますが、ネット上には嘘の情報も多いため、安全性を確保したうえで利用するのはなかなか難しいことです。
クレジットカード現金化は、主に買取方式とキャッシュバック方式の二種類の方法によって行われています。
このほか、最近ではアマゾンギフト買取という方法も増えています。
買取方式とキャッシュバック方式では、クレジットカード現金化を専門的に行っている業者に依頼して現金化を行います。
アマゾンギフト買取においても、それを専業として行っている業者がありますが、一般的な金券ショップなどでも売ることができます。
優良業者がある一方で悪質業者も多く、中には実際に業者が逮捕された事例もあります。
クレジットカード現金化業者はどうして一斉摘発されない?
この時、クレジットカード現金化に対して不安を抱く人が疑問に思うことがあります。
それは、グレーであり、実際に詐欺被害も出ているような仕事をしている業者が、どうして一斉摘発を受けないのだろうかということです。
答えは簡単です。
一斉摘発を行うためには、法的に違法であることがはっきりとしており、行政も取り締まりの方針をはっきりと打ち出すことによって、警察が大々的に動ける下地がなければならないからです。
例えば、2000年代初めに店舗型風俗店が一斉摘発に遭い、今では一部の老舗などを除く店舗型風俗店は全て消滅し、新規開店も不可能となりました。
これは、風営法を改正することによって店舗型風俗店のほとんどがはっきりと法律違反となり、また行政としても取り締まりの方針を固めたからこそ、一斉摘発が可能となったのです。
このように考えると、クレジットカード現金化はまだまだ一斉摘発されることはないでしょう。
クレジットカード現金化は解釈によっては合法でもあり違法でもあるため、法的解釈がはっきりとしていません。
また、行政も取り締まりの方針を持っていません。
そもそも、行政が取り締まりの方針を固めるときというのは、世の中の動きから必要に迫られて方針を固めるものです。
店舗型風俗店の一斉摘発は、オリンピックの東京招致が大きな理由となっていました。
これと同じように、クレジットカード現金化が一斉摘発されるにあたっても、何らかの世の中の動きに迫られる必要がありますが、今のところその気配はなさそうです。
もちろん、悪質業者を個々に取り締まることは可能です。
詐欺行為などの明らかな違法行為が認められれば、業者が逮捕されることもあります。
しかし、世の中がクレジットカード現金化業者の取り締まりを強く望んでおらず、さらには悪質業者の実態は不明な部分が多く、警察は取り締まろうとしてもイタチごっこになるばかりで効果が薄いものです。
正直な換金率で運営をしているクレカ現金化業者
クレジットカード現金化の仕組みは巧妙であり、明らかな詐欺行為があったとしても、証拠をつかみきれずに逮捕されないケースも多々あります。
また、明らかな詐欺行為がなくとも違法性を疑えそうなものですが、表面的にはあくまでも中古品の買取りやキャッシュバック特典付き商品の販売を行っているように見えるだけ、ということがほとんどです。
そのため、警察が本気で取り締まろうとしたところで、「労多くして功少ない」働きになってしまうのです。
このほか、グレーゾーンのサービスを利用して被害に遭った場合、世間の心情には「利用する側も悪い」というものもあります。
警察は世間の心情を反映して動く部分がかなりありますから、これもクレジットカード現金化業者が大々的に摘発されない理由となっているでしょう。
なにはともあれ、クレジットカード現金化業者を一斉摘発しようと思えば、まず法改正が必要となります。
法改正さえされれば、クレジットカード現金化業者は簡単に取り締まることができるでしょう。
クレジットカードは、本来ならばショッピングに利用すべきものであり、クレジットカード会社は現金化への利用を禁止しています。
たとえ優良業者であろうとも、簡単に逮捕することができるでしょう。
しかし、現状の法制度では業者を取り締まることは難しく、何らかの罰則が適用されるのも難しくなっています。
クレジットカード現金化業者の逮捕事例
クレジットカード現金化はグレーゾーンであり、利用者が逮捕されたことはこれまでに一度もありませんし、逮捕される危険性は極めて低いものです。
それだけに、クレジットカード現金化の利用者は年々増加しており、それにともなって悪質業者の数も増えています。
このことに対して、警察も全く手をこまねいているというわけではありません。
上記の通り、法的解釈が曖昧であるために一斉摘発はされませんが、これはあくまでも「逮捕が簡単ではない」というだけのことで、「逮捕できない」ということではないのです。
実際に、現金化の悪質業者の中には逮捕された業者もあります。
クレジットカード現金化業者の中から初めての逮捕者が出たのは、2011年8月5日のことでした。
キャッシュバック方式で現金化を行っていた、貴金属販売会社インフィニティが運営する「キャッシュバックス」という業者です。
この逮捕以前は、現金化業者の仕組みも今ほど巧みではなく、キャッシュバック方式のやり方も明確になってはいませんでした。
キャッシュバックスは2010年3月~2011年1月にかけて、原価が30~120円に過ぎないおもちゃのネックレス十数点を用い、4人の利用者に計416万円をクレジットカード決済で販売した後、手数料として70万円を差し引いて345万円を振り込んでいました。
83%という還元率だけを見れば、そこまで悪質とは言えないでしょう。
しかし、客の目的はクレジットカードを通しての借金にほかなりません。
警視庁はこの事実から、法定金利の20%を10~22倍上回り、実態は闇金融であると判断して逮捕に踏み切ったのです。
また、キャッシュバックスは2006年以降の4年間で見ると、全国750人に対して5億円のキャッシュバックを行い、8000万円を手にしていた事実も重く見られました。
この逮捕を受けて、全国の現金化業者は逮捕対策として、キャッシュバック方式の方法を明確にし、実質的に闇金融であるとの判断をされないように、キャッシュバックの際の商品の設定にも気を付けるようになりました。
現金化業者が逮捕されない理由はここにもあるのです。
現在のキャッシュバック方式は、利用者全員に適用される方式であるため景品表示法にも違反しておらず、またキャッシュバックの際の商品も明確に設定してあることからも摘発を免れることができています。
ちなみに、買取方式はキャッシュバック方式と比較してよりブラックに違い業者です。
そのため、最近ではキャッシュバック方式を採用する業者が大多数を占めるようになってきています。
利用者は逮捕されないか
では、業者は逮捕される可能性がある一方で、利用者が逮捕されることはないのでしょうか。
クレジットカード現金化では、利用者が逮捕されたことはこれまで一度もありません。
しかし、業者が逮捕されている以上、利用者も逮捕の危険性がゼロと言い切ることはできません。
もっとも、逮捕される極めてゼロに近いと言ってよいでしょう。
なぜならばキャッシュバックスのような荒稼ぎをした業者が逮捕されたときに、警察の解釈や世の中の評価を見てみても、悪いのはあくまでも業者であり、利用者は被害者であるという見方がなされていたからです。
逮捕される可能性があるとすれば、利用者を被害者とみなせないほどの悪質な利用があった場合です。
例えば、買取方式で新幹線の回数券や様々な商品を購入し、現金化業者や買取業者に売ったとします。
やり方がひどければ、クレジットカード会社が何らかの措置を講ずることでしょう。
クレジットカードで購入した商品は、完済するまでは所有権がクレジットカード会社にあるため、それを転売して利益を得れば横領罪が適用されてしまうのです。
このほか、キャッシュバック方式を利用したとしても、実際には現金化を目的としながらも、クレジットカード会社には普通の買い物のごとく見せかけて代金を立て替えてもらっているのですから、これは詐欺罪に当たります。
これまで、利用者が逮捕されたことはないのですが、逮捕される可能性があるというのは、この辺に理由があります。
皆さんは、クレジットカード現金化を行う際には違法行為も含むことを弁えつつ、しかし逮捕はされないと知っておきましょう。
逮捕されないからと言ってエスカレートしていけば、どこかで憂き目を見るかもしれません。
だからこそ、違法行為であることを知り、自らブレーキをかける心がけが大切なのです。
より安全な現金化とは
現金化を行う際に、最も法的なリスクがない方法とは何なのでしょうか。それは、アマゾンギフト買取です。
これは、アマゾンギフトをクレジットカード決済で購入し、それを現金化業者などに売るという方法です。
買取方式やキャッシュバック方式の業者で行なっている業務は建前であり、真の目的は現金化という形でサービスを提供しています。
しかし、アマゾンギフト買取を行っている業者は、あくまでも金券その他の買取業者であり、なんら違法性のない取引をしていると言えるのです。
したがって、業者が逮捕されたことに連座して利用者が逮捕される可能性を考えると、アマゾンギフト買取業者を利用するのが最も安全であると言えます。
しかし、現状ではアマゾンギフト買取による現金化業者には悪質業者が多いため、低い換金率で買いたたかれてしまう可能性も大いにあります。
そのため、法的リスクと現金化効率のバランスを考えた場合、他の方式を利用しても法的リスクは極めて小さいことから、キャッシュバック方式で効率の良い業者を選んでおくのが良いと言えるでしょう。
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また、「クレジットカード現金化に当たっては、全くのノーリスクは望めない」と考えておくべきです。
そもそも、クレジットカードの本来の用途はショッピングであるにもかかわらず、それを利用して現金を得ようとしているのですから、どのように利用したところでどこかで違法性が生じるものです。
それが逮捕につながるかどうかは別としても、クレジットカードの利用停止や契約解除などの措置を受ける可能性は絶対にあるのです。
クレジットカード現金化を利用する人は、これをよく知ったうえで利用する必要があります。
逮捕されるリスクは極めて低く、現実的ではありませんが、利用停止や契約解除というのは実際に起こり得ることであり、現実的な問題です。
そのため、クレジットカード現金化を利用するときは、逮捕リスクよりもクレジットカード会社に睨まれるリスクを意識した方が良いでしょう。